脱力宣言

木皮 成

担当教員によるコメント

木皮成の演出力は、“場”の観察に依るところが大きい。身体表現をする自身と観客が、時空間を共有するという構造を強く意識させる。観客は、作品が生れ落ちる現場の目撃者であることを、新鮮な衝撃とともに受け取ることになる。作品の題材は、彼自身の生活そのものなのだと見せながら、フェイクドキュメンタリーなのだ。大前提としての虚構がありながら、表現者と観客が抜き差しならないリアルを共有するという“舞台芸術”の醍醐味を信じるという演出力がある。

教授・加納 豊美