DANCING VANITY
橋本 若葉
担当教員によるコメント
一見、一枚の風景画に見えるこの絵画は、複数の異なった図像が組み合わされて一枚の絵画作品として成立している。それは、複数の図像が構成された一枚の絵画ではなく、一枚の絵画でありながら複数の絵画が存在しているかのように思えてくるのである。この両義的な性質を持った混沌とした世界とは、まさに私たちが生きる世界そのものなのだ。例えば、太陽は地球のために燃え光を放っているわけではない。地球もまた太陽のために存在しているわけではない。おたがいに自律した存在であることから、無関係であるが故に関係性が生まれ、関係性を前提としない現象が生じるのである。橋本の絵画も複数の図像が自律した状態で異質なものとしてぶつかり合い、そして混沌と秩序を生み出しながら両者を行き交う運動性を、私は橋本の絵画に感じずにはいられないのである。
准教授・栗原 一成
- 作品名DANCING VANITY
- 作家名橋本 若葉
- 作品情報技法・素材:油彩、テンペラ、キャンバス
寸法:H1455×W1120mm - 学科・専攻・コース
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