A
前川 はるな
A.“Anone” Diary
技法・素材:オブラート、水槽、水 寸法:H2900×W800×D70mm
B.Self Identity
技法・素材:パフォーマンス
担当教員によるコメント
前川の卒業制作は水とオブラートを使ったインスタレーションとパフォーマンス(企画・演出・その他)だ。オブラートに書かれているのは小学校低学年の時の先生との交換日記だ。「せんせいあのね」で始まる文章は楽しかった家庭での出来事などが原稿用紙風にびっしり書かれているが、水の中でゆがみ、沈み、溶け出して、文章が断片的にしか読み取れない。正しいはずの記録は溶け出して断片化することによって記録としての意味を失い、替わって当時の記憶がより鮮明に描き出されてくる。前川の作品は、楽しいことしか書かれていない記録の裏側にある、それを書くことによってしか心の平穏を得られなかったこども時代の心境を表しているのである。前川は卒業制作で少女時代を清算することによって、新たな人生の一歩を踏み出そうとしている。
教授・菊地 武彦
担当教員によるコメント
前川の卒業制作は水とオブラートを使ったインスタレーションとパフォーマンス(企画・演出・その他)だ。オブラートに書かれているのは小学校低学年の時の先生との交換日記だ。「せんせいあのね」で始まる文章は楽しかった家庭での出来事などが原稿用紙風にびっしり書かれているが、水の中でゆがみ、沈み、溶け出して、文章が断片的にしか読み取れない。正しいはずの記録は溶け出して断片化することによって記録としての意味を失い、替わって当時の記憶がより鮮明に描き出されてくる。前川の作品は、楽しいことしか書かれていない記録の裏側にある、それを書くことによってしか心の平穏を得られなかったこども時代の心境を表しているのである。前川は卒業制作で少女時代を清算することによって、新たな人生の一歩を踏み出そうとしている。
教授・菊地 武彦