「生きたいという欲が、すべて物事を複雑怪奇に見せてしまうんです。」, idol

ウェルデン・リネア

担当教員によるコメント

宇宙を感知するための装置、とでもいうべき立体と、AKB48の前田敦子を描いた絵画。一見全く無関係な作品に見えることだろうが、彼女の中ではどこかで関係しているのだ。彼女はずっと二つのタイプの作品を作り続けてきた。一つは今回にも繋がる装置。それを「外宇宙へまで出奔したい」という願望だと彼女は言う。一方、異邦人として感じる違和感や共感、生や性の苦悩、日々感じたことの断章などを、壁に直接言葉(実に生き生きとした日本語で!)や図像を交えて、豊穣な「グラフィティー」にもしてきた。今回はその部分を、一人のアイドルを殉教者のように仕立てた象徴的な絵画へと結晶させた。AKB商法や前田敦子を批判でも共感でもなく、日本社会の典型を可視化したものとして。それを可能にしたのは、「出奔」した者だけが持つ、孤独でクールな眼だ。

教授・堀 浩哉

  • 作品名
    「生きたいという欲が、すべて物事を複雑怪奇に見せてしまうんです。」, idol
  • 作家名
    ウェルデン・リネア
  • 作品情報
    『「生きたいという欲が、すべて物事を複雑怪奇に見せてしまうんです。」』
    技法・素材:ミクストメディア
    寸法:H1500×W1500×D1500mm

    『idol』
    技法・素材:アクリルガッシュ
    寸法:H2590×W1940mm
  • 学科・専攻・コース