大沢 匠

担当教員によるコメント

展示スペースの白い壁に、びっしり板を張り込んで、全面がコンクリートであるかのように描いた作品。だまし絵とは違う。近づいて見ると塗りの跡がわかるように残されていて、油絵具の物質感が強調してある。遠くから離れて見ると、壁の汚れやしみが樹木に見えるように描いてある。
大沢さんは4年間ずっと、絵画の表面と奥行きの関係について試行錯誤してきた。そしていつも答えが出せず、結果ぐちゃぐちゃした思考の痕跡のような作品になる。誠実で頑固。今回の卒業制作も大沢さんらしい作品になった。混沌としたエネルギーを強く感じさせる。大きさによるインパクトではない。愚直に粘って描くことで現れる深い強さ。

講師・日野 之彦

  • 作品名
  • 作家名
    大沢 匠
  • 作品情報
    技法・素材:油彩、アクリルガッシュ、パネル、キャンバス
    寸法:H2800×W9240mm
  • 学科・専攻・コース