卒業制作優秀作品集2013
生産デザイン学科プロダクトデザイン専攻

吉田 美春

森を航するランドスケープ・ファニチャー

海を航海するように、座る人自らが移動させて自分の居場所をつくる屋外用の座具です。
夏は日陰で涼むお年寄り、冬は日向でお弁当を食べる人…といったように、時間、季節、年月とともに変化する「人と自然の関わり方」の幅を広げます。
この座具の形は、私が幼い頃、漁師である祖父が操縦する船に乗って海を散歩した体験を元にしています。自然の中を移動する楽しさを持っていること、風景の中に置かれる人工物として魅力的な佇まいをもっていることから、舟をモチーフとして扱いました。ロープを持ち上げることで船首が浮き、荷車のように移動させることができます。周りの風景に馴染み、安定感のある木を素材に選びました。また、盗難防止や、安全確保の為、設置場所はゲートのある自然公園などを想定しています。

担当教員によるコメント

部屋の中で最も空間が広く見えるところや、光が美しく感じられるところを選び、そこに一脚のイスを置く。そうすると、その一脚のイスは、本を読むにも、一杯のコーヒーを飲むにも、何とも心地のよい時間を得られるスペースとなる。座るところが定まることで、空間の中での人の暮らし方が見えてくる。この「森を航するランドスケープ・ファーニチャー」も、人と一脚のベンチがもたらす様々なシナリオを含んでいる。小舟のベンチを引っ張って動かし、好きな場所に置いて座る。作者の祖父が漁師で、小舟を引っ張って自然の中を移動したこと。それが記憶の原風景にあって、この作品で形化されたようだ。素敵な体験、時間を感じることのできる作品である。

准教授・濱田 芳治

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