Twisted lines furniture, ねじられたひもの張力を利用する家具

高橋 延忠

作者によるコメント

この家具はねじられたひもによって構成されています。透明パイプを貫くひもは、ねじられることで張力を生み、ネジや接着剤を使用せずに解体可能な構造を保持します。ひものように柔らかな素材を用いても生み出せる強固な構造、またその強度を感じさせない不思議な浮遊感がこの家具の特徴です。
ひもはねじることで短くなろうとします。内側へ戻ろうとするその張力を構造を支える力にしました。ダボやシールで隠そうとする構造の既成概念ではなくあえてデザインの要素として魅力的に見せることができます。

担当教員によるコメント

紐はねじりを強くすれば、長さは短くなるが強固となる。その一見あたりまえの現象を、人が生活する中での必需品"家具"というカテゴリーに対して"新しい便利機能"として美しく応用した作品である。ノックダウン家具が通常必要とするネジや釘、接着剤を使用せずに強固な構造体を保つ事は容易ではない。しかし、この作品はそれらを一切使用せずに、巧みなテンションコントロールで構造体としての丈夫な柱を形成しているのである。ファスニングとなっているテンション素材の紐をデザインの特徴として見せ、合わせて家具の重々しさを感じさせない為の浮遊感表現の素材選定など、いたる所にデザインに対する真摯な姿勢が感じられる。今後のノックダウン家具の新しいデファクトスタンダードになればと期待する。

教授・中田 希佳