終わらない1日

酒井 郁美

担当教員によるコメント

酒井さんは、流れ行く時間の瞬間を捉えることが自身のデザインの原点であり、そのデザインが途切れることなく繰り返されるパターンデザインは、終わって欲しくない瞬間を永遠に留めることだという。コットンプリントデザインはその表層性が真骨頂である。素材感に頼らない、色を重ねる染色の深さもない、只単純な造形能力が求められる。その表面的な美しさは、軽さと言い換えることが出来るのではないか。デザインは真摯に取り組むものだが、デザインは真面目だけでは面白くも何ともない。実にデザインの難しいところだ。酒井さんは幸せの瞬間をデザインで表現し、その幸福感を私たちに伝える。至極真面目な彼女だが、そのデザインの面白さの秘密は、幸せという解放された世界を永遠に留めることにあるのだろう。

教授・髙橋 正