しきりごし -雪月花-

岸田 知美

担当教員によるコメント

岸田知美さんは四季の風情を生活に取り込む日本独特の文化を欄間等に見られる組子の幾何学的なパターンを用い、「雪」「月」「花」を日本民族の魂とも言える着物に表した。日本の四季は春夏秋冬というとらえ方もあるが、湿潤と乾燥、華やかさと去りゆく姿が次々と訪れるとも言える。そこには自然とは科学として捕らえるものではなく、共生するものと考えてきた日本人独特な空間のとらえ方や自然観がある。「しきりごし」は板締めによる絞り染や型染という伝統的な手法を駆使し、若い独特な感性で自然観を肯定的に捕らえた手しごとの味を堪能させてくれる作品と言える。

教授・弥永 保子