卒業制作優秀作品集2014
芸術学科

荒川 瞳

絵画について―映画と比較して
(マルレーネ・デュマスを中心にフランシス・ベーコンから現代画家まで)

本論は、現代の絵画について、映画の技法を絵画の中に取り込み、絵画を制作することを今も探求し続けるマルレーネ・デュマス、絵画と映画監督の両方の顔を持つアンディ・ウォーホル、ジュリアン・シュナーベル、デヴィッド・サーレ、様々な革新的な映画技法を映画に組み込んだことで無声映画史上最も有名な作品の一つとなった『戦艦ポチョムキン』。最も絵画的であると同時に、最も映画的な絵画を作り出したフランシス・ベーコンを例に、映画と絵画を比較する。

担当教員によるコメント

本論文「絵画についてー映画と比較して」は、絵画と20世紀を代表する表現メディアである映画との関係を考察したものである。感情表現や現実を抽象化しながらもそのアクチュアリティを伝える力、ナラティブの形成において、映画は、絵画よりも強い表現たりえている。では絵画が映画的なものをどのようにその表現に取り込むのか、絵画的な形式や美学の集積が映画製作にどのように反映されるのか。本論はこれを前者としてマルレーネ・デュマス、後者としてジュリアン・シュナーベルなどを代表例として分析検証している。病、心理的な不安など現代がかかえる深層にいたる問題にきりこむ芸術表現の深度にも言及する、それぞれの作家例の分析が今後独自の研究につながる可能性を感じさせる、現代的な視点の論考である。

教授・長谷川 祐子

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