陽翔

加賀屋 諒

担当教員によるコメント

彼の3年次以降の作品テーマは一貫して、生命を感じる生きた作品ということになる。過去の作品にはいろいろな動物が登場し、トンボを使った作品はこれで3回目。卒業制作ではトンボは羽根だけの姿となって、ドングリの種から発芽した芽が空へと伸びて飛翔するイメージを具現化した構成となった。素材は鉄を用い、羽根の部分がステンレス。ドングリの形は1.2mm厚の板材を展開図から起こしてガス溶接で繋ぎ、丁寧にならし打ちを施し、錆色仕上げ。発芽する芽は直径35mmの棒材を真っ赤に加熱し、鍛造で徐々に細く延ばしながら成型、鍛鉄の緊張感を持たせた造形になった。彼は高校から金属に慣れ親しんできたので、材料との親和性が持ち味だ。今後は金属工芸の制作会社で仕事を覚えて、更に腕を磨くことを期待する。

非常勤講師・藤田 政利