残した跡

鳥越 梨瑛

担当教員によるコメント

作者は、3年次に様々な金工技術を試みながら制作していたが、立体造形として積極的に金属と向き合う方向ではなかった。ところが4年次には、一転して鎚起と溶接を多用した立体造形に向かった。どうやら3年次の制作は、卒業制作に向けての試行錯誤と基礎技術の習得を目的とし、本プログラムで行う多様な金属と技術を組み合わせた、自己の立体造形表現を見据えての、周到な計画であったようだ。この作品は、芽キャベツをモチーフとしたオブジェ作品だ。よく見ると、キャベツに例えた球体には、虫食いのような痕跡が見える。西欧でキャベツは、頭・子供等の比喩を有する。このcabbagehead(石頭)達に残された痕跡は、いったい何を意味するのであろうか。

非常勤講師・関井 一夫