Silk Warm

高橋 篤樹

担当教員によるコメント

蜘蛛の巣や繭を連想させる細い糸の集合体がシェルフとなったデザインである。当初から視覚的な効果としての「モアレ現象」にこだわった。それは理屈抜きで感動できる何かへの模索であり、健全な挑戦であった。しかし最終的に線の集合体の「モアレ」が持っている価値や利用目的、あるいは用途といった理屈を考えたところから完成に向かうことになった。線を構成する糸の種類、そのフレームの寸法、線の集合が面となることでシェルフが形成される…全ての要素を繊細で尚且つ強く。全体像を決定したのは綿密な試作の賜物であろう。シェルフデザインに欠かせない要素=「強さ」を「弱さ」の中から見出したことで、日常を超越したデザインに昇華させることができた作品である。

准教授・米谷 ひろし