Nest

中澤 健太郎

作者によるコメント

人の動きで生まれる僅かな風で不確定に揺れ、内側と外側の領域が曖昧でやわらかく包み込む空間デザイン。居心地の良さや人間と自然が共に生きていく在り方について考えるメッセージとして「Nest」というタイトルにした。

担当教員によるコメント

「人の拠り所」として、無数の繊細なモビールで構成された仮設空間である。全体を構成している素材は、模型素材として最もポピュラーなスチレンペーパーを角棒状に手加工したものだ。透明な糸で吊られたモビールは、一本の糸から全てを吊るすことが構想段階ではあったが、不規則に動く部分の集合による構成となった。ドーム状の空間は四方から自由に入ることができ、その中に身を置いてみると内外一体となりながら包まれる心地よさがある。僅かな空気の揺らぎを可視化してみせる空間は、記憶の中の“ある一瞬”をとらえ続けたような、繊細で美しい静けさ、そして儚さを感じる。人の拠り所をテーマとした抽象的であいまいな存在でありながら、人に何かを想起させてくれる空間。

准教授・米谷 ひろし