KUMU –空気を汲む–

横田 華苗

作者によるコメント

水をラップで包んだ物体に景色が写り、それが反射してまた物体に映る。その些細な現象を空間に構成することで身近な素材に新たな価値を見出す提案。

担当教員によるコメント

「水をサランラップに包んで吊るした」インスタレーション作品。身近な素材、それを吊るす透明な糸、全て無色透明で何が最適なのか、延々と試作された。その小さな水のオブジェクトは目線の高さに均等に吊るされ、それらは点でもあり面でもありながら、レンズ効果によって周囲の光と景色を内包している。時間や見る角度、距離、人の動き、風の動き…様々な要因によって表情が違う。オブジェクトのある空間との直接的な関わり以上に、内包された景色とその広がりは、日常的に気にしていない、気にならない世界が凝縮されている。周囲の景色を漠然ととらえている日常に対して、ある種の気付きを与えてくれる。

准教授・米谷 ひろし