2つの輪郭と密度から生じるもの

渋谷 黎

作者によるコメント

現代の多くの建築、空間は壁という面で様々なものを分断している。人のモノの捉え方を研究し、木や雲のように感覚的な溶け合いを持つ新たな家具、空間、建築の原型であるno-scaleの模型を作り、原型から何が生じるか検討する。

担当教員によるコメント

建築では壁により空間の分断が生じる。壁の概念を意識とか感覚といったものから見直せば何か新しい関係が見えてくるのではないか、ここを問いかけている。この作品を見ていて不思議なことを考えた。仮に我々人間が電子顕微鏡のような眼を持っていたら、分子レベルで構造を捉えることができたら、我々をとりまく壁は著しく異なって見えていたに違いない。この作品のように密な部分で結界を感じ、粗になって空間に溶込んでいく部分では本当に終わりの見えない空間を認識するのかも知れない。人間の感覚の曖昧さはコンピュータには予測不能だろうと思う。であればこそ、今は何の機能も持たないこの作品による問いかけはいずれ予想外の答えを用意して、建築やインテリアデザインの世界を変えるのかもしれない。そんな希望がある。

教授・富樫 克彦

  • 作品名
    2つの輪郭と密度から生じるもの
  • 作家名
    渋谷 黎
  • 作品情報
    技法・素材:ピアノ線0.7mm/0.5mm/0.3mm、熱収縮チューブ、シリコンチューブ
    寸法:H2150×W3350×D2450mm
  • 学科・専攻・コース