松原 麻衣

担当教員によるコメント

この風景は不思議な感じがする。夜なのか、曇っているのか、砂漠なのか、川が流れているのか…「道」というこの作品、荒涼とした地に晴れ間が出る途中にも見え、夜のとばりが全てを覆い尽くす手前にも感じられる。たぶん、松原さんの記憶の全部を集約したものなのではないかと思う。このスタイルを松原さんが確立し始めたのは3年の終わりあたりだろうか。絵の具を扱うのが巧みな学生だったが、風景を描き始めて彼女の感性や技術が十分に発揮され柔らかく、でも怖いような不思議な世界を紡ぎ上げている。色面の中の鮮やかなピンクや緑の使い方は独特で、深い藍色の大胆さにも目を見張る。この先の作品も早く見たいと期待させる卒業制作だと思う。

教授・宮 いつき

  • 作品名
  • 作家名
    松原 麻衣
  • 作品情報
    技法・素材:高知麻紙、水干絵具、岩絵具
    寸法:H1818×W2273mm