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川畑 雄一郎

作者によるコメント

写真は人の手で描かれたリアルな絵画とは異なり、写る対象は、常に本物で現実にちゃんと存在し、その対象が真実であるかのような感覚があります。その感覚を生かし、リアルな現実感を持ちながら、見た事の無い世界を撮りたいと思いました。その写真は不思議な現実感を含み、これは何だろうと思わせる力を持つと思ったからです。撮影は時間の変化による対象の変化、対象の面白さ、天候などを意識しました。

担当教員によるコメント

日常の光景を写真に撮って魅力的に見せることは最も難しい。川畑君は日常を、あるアイデアを使って表現することに成功した。建造物の一部を切り取って左右対象に組み直し、さらに空中に浮かせる。それだけの表現行為なのに、なんと面白くて、未来的で、しかも懐かしい作品だろう。あり得ない建造物なのに、デジャブ(既視感)が湧いてくる。全てが川畑君のアイデアとセンスで制作は進行した。ある程度完成するまで、むしろ私のアドバイスは控えた。写真は実在証明であるという錯覚を利用して、記憶と密接に結びついて展開される写真の面白さを経験したと思う。時間と天候のバラエティーが作品をさらに興味深い作品に仕上げた。

教授・十文字 美信