Contempus

斉藤 那緒

作者によるコメント

スクリプト体のもつ優雅さを保ちつつもモダンローマン体のような鋭さをもつフォルムになっているデジタルフォント「Contempus」。書体名はラテン語の「CON-tempus(時代を共有する)」という意から。モダンローマン体とスクリプト体の中間のものという意味に加えて、鋭さと柔らかさの中間という意味も込めています。あわせて、この書体を使用したポスターと詩集を制作しました。

担当教員によるコメント

スクリプト体とは、ラテン・アルファベットの筆記体で、古くから使われてきた活字スタイルのひとつである。一般にペン書きの手の動きを再現しているため、文字が右に傾き、終筆部と起筆部が繋がった、流れるような柔らかい形状が特徴である。斉藤那緒の作品は、この筆記体にあえて厳格な規則を持ち込んだ。個々の文字を見るとシルエットの固さが際立ち、あちこちに付け加えられた直線がとげとげしい。ところがこれらの文字で単語や文章を組んでみると、鋭さをもったスピード感が生じ、独特の個性が感じられる。まだまだ調整すべき点は各所に残っているかもしれないが、一見困難と思われるこの試みを思い切ってやり通した底力を評価したい。

非常勤講師・山本 政幸

  • 作品名
    Contempus
  • 作家名
    斉藤 那緒
  • 作品情報
    技法・素材:デジタルフォント、デジタル出力
    寸法:ポスター/H450×W1030mm、H1030×W728mm、本(書体見本帳)/H246×W163×T15mm、本(詩集)/H293×W443×T20mm
  • 学科・専攻・コース