landmark/Salyu

高松 彩子

作者によるコメント

Salyuの「landmark」のミュージックビデオ(MV)を本の形式で制作しました。フォトグラムとポートレイトを組み合わせた表現を用い、映像を撮る感覚でグラフィックを制作し、映像表現を本という静止画で時間軸のある媒体に落とし込む試みをしました。映像の感覚に近づけるために、1頁の比率を16:9としていたり、MVと同程度のボリューム感を与えるために、1曲20頁、全11曲で220頁の構成となっています。デジタルメディアの台頭する今に紙媒体の価値を高めるものとは、1つの音楽や映像のような動的な表現を取り込むことではないでしょうか。

担当教員によるコメント

高松彩子の卒業制作は、Salyu「Landmark」のミュージックビデオ(映像)をあえてインクと紙の世界に定着させるという、媒体の在り方に挑戦した意味ある実験と言えよう。「クリエイティブにおける新しさとは何なのか?」を我々に問いかけているのだ。全220頁もの素晴らしい大量の表現群は、フォトグラム、及びポートレイトにより作成されており、頁をめくるたびに飛び込んでくる様々な緊張と動的なビジュアルはまさに圧巻である。基礎課程時より彼女の各課題に対する向き合い方には常に深い思慮を感じていた。そして、いかなる状況下においてもTry&Errorを繰り返すことを苦にしない結果に対する執念も尋常ではなかった。学生の域を超える驚きのクオリティーの誕生も当然のことなのかもしれない。

教授・澤田 泰廣