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白井 章平

作者によるコメント

私たちは日々、様々な軌跡を残しながら生活しています。軌跡は行動の記録となり、まるで存在を証明するような重要な物だと考えました。しかし普段から軌跡を意識することは少ないものです。そこで私は、軌跡が新たな形で残るような空間を作りました。土の上を歩けば足跡が残るように、この空間の中を歩くと、音色とともに光の道筋が描かれ、時と共に消え去ります。この体験を通して、軌跡から存在を再認識してもらえれば幸いです。

担当教員によるコメント

「軌跡」。白井章平が卒業研究制作として一年間、取り組んだテーマである。振舞いによって生まれる軌跡を認識させ、自身の存在をより強く感じさせる。言葉で表すとそうなるが、その実現方法は数限りなくあるだろう。白井は当初、フォグスクリーンを使って視覚化することに挑戦したが、最終的に光と音によるインタラクション作品へと進化する。作品の表現で特筆すべきは軌跡の精度である。試行錯誤の積み重ねによって生まれた、人の微妙な動きを正確にトレースする光と音。シンプルな空間の中でその軌跡は生物のように追いかけて来る。体験する者は様々な動きを自然と何度も試したくなる。ミニマムでありながら人の感情や感覚に働きかける素晴らしいインタラクション作品へと昇華した。

教授・宮崎 光弘