みかん島のてぬぐい

徳永 茜

作者によるコメント

瀬戸内海の大崎下島にある、海とみかん山に囲まれた小さな集落「大長」。休みがあると祖父母のみかん農業を手伝いに行き、島でしばらく過ごしていた幼少期。コンビニもパソコンもない、でもその島のあたたかさとゆっくりな時間は私の人生の宝物です。今も残る昭和の風景とわたしとおばあちゃんの想いで、大長への感謝の気持ちを込め、農家で使われるてぬぐいを制作し贈りました。

担当教員によるコメント

広島県呉市大崎下島。瀬戸内海に浮かぶこの島は作者の徳永茜の祖父と祖母が住む島である。徳永は幼い頃よくこの島に通い、みかん栽培の手伝いをした。徳永の卒業研究制作は秋口までテーマが決まらず難航していた。そんな時この島を訪れ、豊かな自然と島の人たちの温かさに触れ、それを卒制の題材にしようと決めた。制作したのは島の人たちが農作業で使う「てぬぐい」。心を込めて作った「てぬぐい」を抱えて、徳永は再び島を訪れた。島の人たちに「てぬぐい」を使ってもらうためだ。卒制では島の人たちが、はにかみながら嬉しそうに「てぬぐい」を纏う写真も展示された。しかし、徳永が真にデザインしたものは「てぬぐい」や「写真」だけでなく、地元の人たちの心からの「笑顔」である。

教授・宮崎 光弘