核の伝道 Nuclear Evangelism

松田マイケ直穂

作者によるコメント

「核廃棄物問題」を卒業研究制作のテーマとして選び、「核の記号学」と言う核廃棄物に関して遠い未来世代とのコミュニケーションの研究学問を調べ、記号学者であるThomas Sebeok氏の提案を元にしたクリティカルデザインプロジェクトを制作しました。核廃棄物の危険性を神話の中で語る『核の伝道』は宗教的なアーチファクトをメディアとして使い、祭壇、聖典、カレンダー等を制作し、最終審査会は儀式の形で行いました。

担当教員によるコメント

現在の世界が抱える諸問題のなかで、原子力は私たちに与えられた大きな課題である。数ある核の議論から松田が取り上げたテーマは、核廃棄物処理についてであった。世界中で日々増え続ける高レベル放射性廃棄物は、地層処分場の地下深く埋められ、10万年ともいわれる半減期を待つ。そのとき重要になるのが、はるか未来の人々とのコミュニケーションだ。危険であること、近づいてはならないことを、世代を超えて伝えていく必要がある。そこで松田は、トーマス・シーベークの宗教を用いるアイデアに着想を得て、語り継いでいくべき新たな神話と祭事をつくった。正確なリサーチと飛躍する発想が支えた、見事に精緻でクリティカルなデザインであった。

教授・永原 康史

  • 作品名
    核の伝道 Nuclear Evangelism
  • 作家名
    松田マイケ直穂
  • 作品情報
    作品形態など:祭壇、聖典、カレンダー、コンセプト、物語、イラスト、青焼き、製本
  • 学科・専攻・コース