こいわいろがたり

山本 真里

作者によるコメント

クレヨンの一つ一つに、私の地元である“小岩”という街で経験した思い出が詰まっています。1日に何カ所も回って遊んだ公園。家族揃って行ったジオラマのある銭湯。「なにもない」と言っていた地元。何もない所が良い所なんだと今になって気付きました。クレヨンという小さな子どもでも扱える素材で“地元”が持っている、温かみを感じてもらえる様にしました。

担当教員によるコメント

作者が生まれ育った小岩という街の思い出や様々な地域の物語をコンテンツに、誰にでもわかるクレヨンという形を借りて、それらの経験と物語を視覚的に表現した作品である。制作は、地域を歩いて街に暮らすひとたちにていねいに話を聞くフィールドワークから始まった。さらに、地域との関わりの中から小岩という街の魅力について、そしてそれを伝えるための表現について深く考えた。表現のモチーフになったモノの背後には、作者の思い出や、街の人々の記憶や地域の物語などが静かに横たわっている。また、これらの表現を社会に開くことで、地域性を特徴としたサービスデザインへの展開も期待できる。

准教授・吉橋 昭夫