福島の形相

後藤 寛敬

担当教員によるコメント

後藤寛敬の「福島の形相」は、青空にのどかに鳥が飛んでいたり、雲がゆっくりと動く映像が映し出されたモニターの表面に放射線量のデータが白いペンで図形化されていく作品である。彼が福島県楢葉町に滞在して実際に採取した放射線データや映像素材は「目に見えない悪夢やよくわからない異物感」となって作品上に表現されている。PolarGraph Plotterという描画するマシンとProcessingというプログラミングを使い、放射線量のデータによって上下左右に動きながら青空に何か得体の知れないモノを刻むように描いていくこの作品の様相はまさしく「現在」を表出させているように見える。

教授・三上 晴子