ふためないはえかた

林 玲

担当教員によるコメント

画題を見た時、右眉、ふためないはえかた、この二つの文字に注がれ、その画題が様々な連想を呼ぶが「二度と無い」という意味だそうだ。なんとなく感覚的に理解してしまう。一つの形を反復して描く、この発想は一貫して彼女が続けてきた制作姿勢でもある。3cm幅のこの眉の形を、画面全体、右傾斜させ、淡いピンクと淡いブルーで繰り返し、連続して画面全体の流れを造る。反復した形の重ね合わせの結果、表面的な形態だけでなく、作品の奥底からくる響、それも柔らかな優しい音が、そこにある。画面の大きさ以上に大きな空間を感じさせる。この作品の結果をどう彼女が操るか、楽しみでもある。

教授・中野 嘉之