隙間

根岸 美穂

担当教員によるコメント

淡い色調でしっかりとしたマチエールが作品の特徴である。画面に描かれたモチーフはクローズアップされた女性の下着姿の一部分である。そしてそのポーズは意味ありげであり、淡い色調の中で抒情的な物語性を感じさせる独特な感性をかもし出している。作品の傍らにその元になると思われる写真が置かれていた。本人は全て自分を撮った写真だと言う。そして自分の女性としてのコンプレックスがモチベーションになっているとも語った。それを聞くと私はとまどいを感じざるを得ない。正確には男女の差異を感じてしまうと言っても良いのかもしれない。男性の私には客観的に見てコンプレックスは想像できなかった。女性の立場からするとメッセージに共感する何かがあるのかもしれないが、私にはただ画面全体の上質な感性の魅力が優先して迫ってくる。

教授・室越 健美