Corpse

馬場 美桜子

担当教員によるコメント

大量の花が描かれた200号の作品は圧倒的であった。作品は花の写真を拡大し正確にシルエットを画面にトレースする事から始まる。画面にトレースが埋め尽くされると、画面の中央や隅からいきなり描き始める。そしてトレースの線は突然リアルな花や茎に生まれ変わる。もちろん画面上の直感的判断が作用するので盲目的にトレースをなぞるのではなく多少の誇張や省略もあるとは思う。この方法は約一年くらい前から行われているが、それまでは花全体を雰囲気的に捉えていた為に密度や完成度については決定的な手段が見つからないでいた。ところが花のシルエットをトレースすることで、まず形に対する曖昧な要素を極力排除し、画面全体に緊張が行き渡るようになった。そうしたことで、結果的に花自身に、思い入れと感情的な要素も閉じ込める事が出来たのだと思う。

教授・室越 健美