住み処

堀合 美音

担当教員によるコメント

モノトーンで仮想空間のような作品を堀合は長年続けてきた。最近ではアニメーションにも挑戦していて制作の幅を広げている。平坦で均一に塗り込められた色面はあっけらかんとした潔さを感じさせ、絵画であること、仮想の空間であることが強調されている。たくさんの色彩を使うこともなく最小限の要素でミニマルな絵画の成立を目論んでいるようにも思われる。坦々と静かな時間が過ぎて行く街、平坦でどこか見慣れた風景にもかかわらず、そこに人間は登場しない。人間不在のパースペクティブは記号化された平面空間の風景として展開されている。しかし、直線的で無機質な要素で構成されているにもかかわらず、微かに人間の面影や余韻や温もりを感じさせて不思議な思いに気付かされる。

教授・木嶋 正吾