at the cost of many lives

來山 侑加

担当教員によるコメント

明るい空の下で乾いた風に吹かれている。來山侑加の作品は、そんなスカッとした解放感溢れる空間にいながらも、どこか神経がざわつくような、不安の予感が気持ちの奥に潜んでいる、観る者にそういう感情を引き起こす絵画である。思いきりのいいシンプルな画面に緻密に描かれた植物や昆虫は、確かな素描力とバランス感覚の良さを感じさせ、心地のいい緊張感があるが、それをかき乱すような大胆なストロークが画面の均整を失わせる。しかし過剰に暴力的にはならず、観る者を拒むことはない。洗練された不協和音と明るく乾いた色彩が、來山作品の大きな魅力であり、完成度の高い絵画をそこに生み出している。

教授・吉澤 美香

  • 作品名
    at the cost of many lives
  • 作家名
    來山 侑加
  • 作品情報
    技法・素材:パネル、鉛筆、アクリル、油彩
    寸法:H194×W130.3cm(2点)
  • 学科・専攻・コース