浮音

川田 淑未

担当教員によるコメント

「浮音(うきね)」とは、おそらく作者の造語と思われるが、字面と読みからも古雅な印象を受ける。作品は四角柱の石塊の側面から同じく虚の角柱が彫り貫かれただけの単純な構造であるが、その内包する空間が床面に直置きされた作品全体の佇まいに対し、透明な音色を奏でていて実に妙である。派手な意匠を抑え再現的な造形を一切排除しながら、石という物質と実直に向かい合ってきた作者の到達点と言えるだろう。
何より「いい景色だねー。」

教授・水上 嘉久