心象と針象

志村 知隼

担当教員によるコメント

優れた文学作品にふれたとき人はふつう目で見た文字からその意味だけを読み取るのではなく、言葉から感じられる音や、ひかりや、情景を心に思い描き、美を享受する。もやもやと心に描かれた形象は言葉にたどり着けなかったり、言葉を通り過ぎてしまったりと、時間とともに変化する不完全なイメージとして心に留まる。志村知隼の卒業制作の主題はそういった言葉と心象の関係に置かれている。言葉を尊ぶ謙虚な姿勢はあるものの、演出とはいえ、その造形性は決して言葉に劣るものではない。既存の染色技法に対する軽やかな反骨精神と緻密で丁寧な手仕事の痕跡、さらに感情豊かな色彩表現が調和的に重なりあい優れた作品ができあがった。とまれ志村さんの作品は美しい。

教授・柏木 弘

  • 作品名
    心象と針象
  • 作家名
    志村 知隼
  • 作品情報
    技法・素材:刺繍、熱転写プリント、レーザーカット ポリエステル、ビーズ、スパンコール、アクリル樹脂
    寸法:H250×W250×D90mm
  • 学科・専攻・コース