呼吸する景色

柳下 恵

担当教員によるコメント

「呼吸する景色」は今年の卒業制作の中でも特に際立った作品だと評価された。型紙は世界の絵画、クラフト、デザインに影響を与えた歴史ががあり、「世界が恋した日本のデザイン展」でも紹介されたように魅力ある日本染色文化の一つ。型紙には「日向」「影」「括り」という彫る際に生まれる制約のある制約美と言える。柳下さんの作品は伝統を強く意識しながらも従来の型紙とは違った概念で制作されている。例えばメルトオフ技法による透かし文様。実際に制作された型紙と絵羽柄の振袖でオーバーラップさせ具現化している。遠くから見れば平面だが、近くで見ると極めて繊細で複雑な世界が現れる。1枚の紙(型紙)と1枚の布から生み出される美は、まさに日本の美意識に通じる。次年度には大学院にも進学されるので、更に新しい進化も期待されている。

教授・弥永 保子

  • 作品名
    呼吸する景色
  • 作家名
    柳下 恵
  • 作品情報
    技法・素材:型彫り、箔押し 洋紙、紗、顔料、
    ポリエステルナイロン混紡布
    寸法:H180×W120mm(振り袖)、H180×W73mm、 H180×W43mm、 H120×W43mm(型紙)
  • 学科・専攻・コース