卒業制作優秀作品集2015芸術学科

摩庭 啓人

フレデリック・ワイズマンのドキュメンタリー
―「主人公」の有無をめぐって―

本稿は、アメリカを代表するドキュメンタリー映画監督のフレデリック・ワイズマンをとりあげ、彼の映画作品には主人公が登場していないのではないかという疑問に対し、「細かく分けられたシークエンスの中にたくさんの主人公が登場している」という映画理論家のビル・ニコルズの主張を擁護する形で展開されている。そして、主人公の存在の有無について研究することが、ワイズマンの映画を論じる上で、なぜ重要であるのかを探求する。

担当教員によるコメント

摩庭啓人さんの「フレデリック・ワイズマンのドキュメンタリー ―『主人公』の有無をめぐって―」は、現代アメリカを代表するドキュメンタリー映画監督F・ワイズマンを論じた映画論です。長回しで撮影しナレーションや音楽を入れない独特の手法はダイレクト・シネマと呼ばれますが、学校・軍隊・病院など様々な組織や社会制度を描く彼の作品には、一見主人公がいないように見えます。摩庭さんは「観察映画」という観点から考察を始め、「細かい場面の中にたくさんの主人公が登場する」というビル・ニコルズの仮説を検証しつつ、主人公の有無を軸に作品構造の特質を論じ、なぜワイズマンがそのようなスタイルを必要としたのかまで考察しています。英語論文の読解も含め高く評価できる論文です。

教授・西嶋 憲生

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