石と木 それから

小根山 弥生

担当教員によるコメント

彼女の描くドローイングは乾いた滑稽とでもいえるような、不思議と見る者を微笑させる力を持っている。描かれている形態は具体性などとは無縁な純粋な構成のようにも感じられるが、彼女には、巨石の上に朽ちた木が乗っているようなイメージソースがあるようだ。支持する量感と重力によって留まっている質感、彼女が諧謔的に語る「乗り感」、物と物、形と形、質と質の重力下での関係である。彼女の描くドローイングは彼女の感覚「乗り感」によって抽象された関係性である。この関係を彼女は歪曲することなく更に立体へ、陶へと鮮やかに変換してしまった。その行為に我々が感応している彼女の素材との応答の総量が支えとなって、平面上のイリュージョンが現実の空間に成立しているのである。

教授・井上 雅之

  • 作品名
    石と木 それから
  • 作家名
    小根山 弥生
  • 作品情報
    技法・素材:陶
    寸法:手前からH870×W770×D480mm、H570×W700×D600mm、H640×W800×D470mm
  • 学科・専攻・コース