明日の造成

冨士榮 宏将

作者によるコメント

造成され20年以上放置された敷地を再造成する計画を提案する。多摩丘陵を生み出した水の浸食、堆積作用を引用し、豊かな風景と身体感覚の源となるランドスケープを設計した。

担当教員によるコメント

多摩ニュータウンに残されている造成地、大学のすぐ横にも広がっている未利用の造成地を見て、「どうにかならないものか」と感じる人は多いと思う。ランドスケープアーキテクチャーを学び、地形を扱い、等高線によって地形を表現することを学んだ彼にとって、「どうにかして開発前に持っていた多摩丘陵の魅力を再生させたい。」という欲望は必然のものであった。効率的に多くの平坦な面を作る為の造成に対して、地形、植生、身体感覚のいずれにも納得のいく造成を、自然の浸食のシステムを援用し「明日の造成」として提案する。その上で、微地形のもつ魅力や周辺の眺望をより明確に感じられるように構造物を配置する。地形と構造物(建築ではない)の関係性を提案したこの作品は、この領域を学ぶ学生らしい秀作となった。

教授・吉村 純一