2つの路をもつ店

鈴木 まなみ

作者によるコメント

この家は、うなぎの寝床のような土地に、築87、40、87、50年の建物が並びます。今回は、この家をインテリアショップ、別荘、書庫、カフェに改築しました。敷地のおもしろさを生かすために、また店としてわかりやすい導線を作るために、2つの長い通路を作りました。インテリアショップでは家具に合わせて空間を作りました。

担当教員によるコメント

築年数が異なる古い日本家屋4棟を、2つの路地で繋いだ店舗設計である。浜松にある実家の有効活用といったことであるが、別の場所で家具販売を営む父親をクライアントに想定した、ある種“現実的な提案”ということも興味深く、説得力のある内容になっている。うなぎの寝床のような敷地に並んでいる4棟に対し、作品名の通り「2つの路」を挿入することで、動線の確保以上の路地空間が生まれている。この路地の魅力は“どこまでもアプローチ”のように回遊動線がとられているからだろう。長い引き込み動線はややもすると、奥まで動員できないといったことが起こるが、異なる用途に程よい距離感があり、連続的に再構成された細長い路地が、全体に波及した魅力的な空間となっている。

准教授・米谷 ひろし