BLUE MOMENT

黒谷 優実

作者によるコメント

禅の香りを紐解き、茶室にみられる精密な空間性や小宇のような完成された美学、和の原点「重ね」の思想、日暮れ時に一瞬だけ訪れる「BLUE MOMENT」の心安らぐ色彩で空間表現します。

担当教員によるコメント

昼と夜の境界…。黄昏時をとらえたインスタレーション作品。既に商品として存在する香水「ZEN」のコンセプトからインスパイアされたプロモーション空間である。透明ボトルそのままをベースにしたかのようなソリッドな透明アクリルは、シンボリックに存在し、空間の中心性をつくり出している。繊細なファブリックは黄昏の空と、その空気を表現したオリジナル染色加工である。それらをレイヤー状に重ねることで、平面的なファブリックに奥行きを与え、あたかも香りに包まれるような空間となっている。「音色」が見えない色のたとえだとすれば、この作品は「香色」だと感じる…。儚さに美しさがあるといった、日本の美意識を思い起こさせてくれる。

准教授・米谷 ひろし