いつかの方向

大西 操

担当教員によるコメント

多少癖っぽい部分があるが見方が非常に素直で、絵の具がたっぷり使ってあり、豊かな印象を受ける。この画面にどういう物語があるのだろうか。右の女性達は双生児と言う意味を含んでいるのか、左の人物は右の人物たちと関係あるのか否か。文様を使い様式化した色面を作ろうとしているが、そこに戸惑いや思い切れない感じも伺える。しかし、そういう部分が何故か初々しく見えるのは大西さんの性格から来るものなのだろうか。人の重なった形の中で創意工夫をしている跡、苦渋の判断で背景を途中で変更した痕跡は、フルに働きながら毎日夜遅くに大学に着いていた大西さんが、限られた時間の中で必死に思考し制作した証である。

教授・宮 いつき

  • 作品名
    いつかの方向
  • 作家名
    大西 操
  • 作品情報
    技法・素材:岩絵具、水干、銀箔、麻紙
    寸法:H181.8×W227.3cm