卒業制作優秀作品集2015
グラフィックデザイン学科
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- 横田 彩華
Person
技法・素材:ポスター/紙、HI-TEC0.4、写真、ガチャ玉、Photoshop、Illustrator、デジタル出力
寸法:H515 ×W728mm(42点)
ユングいわく、その場に応じて形成された人格をペルソナと言い、それは自分の心の鎧であるという。人は常に、仮面を被って生きている。仮面(ペルソナ/persona)を語源として個人(パーソン/person)という単語が生まれたように、演じる理想の人物像は、いつか自分の本質となりうる。仮面が自分の内のコンプレックスから生み出されたものと考え、そこから生じた理想の自分像を演じることに対する、歪な魅力性をテーマに制作した。『コンプレックスから生まれた怪物は、いつか理想の自分になる。』
担当教員によるコメント
卒業制作は自分自身を深く見つめ直すところからスタートする。横田彩華は、自分の中にある弱さ、汚さ、ずるさの存在から逃げなかった。「ゴーン・ガール」という映画がヒットした。主人公の女性が理想とする人物像を演じ、仮面をかぶり続けていくことで、関わる人を翻弄していき、それが殺人事件に発展していく…。横田の描く仮面はペンで描いた6種類の動物の細密画がベースである。それらをコラージュし、実在しない動物の仮面に仕立てていく。微妙なバランスで構成されたその仮面が、モノクロで撮影された人物の顔の部分に置かれる。そこに明確な表情は読み取れない。しかし、強く何かを訴えかけてくる。前出の映画より確実に、見る人の想像力を強く刺激し、こころに傷を残す作品になった。
非常勤講師・水口 克夫