日本文学グラフィック

広川 海

作者によるコメント

明治後期から昭和初期に活動した作家の誰もが一度は読んだことがある作品を選び、ポスターを制作。クライアントは新潮文庫とし、一枚一枚のビジュアルは作品の中に出てくるキーワードをモチーフを選びビジュアルに持っていく。新しい文学作品のビジュアル展開を作成した。

担当教員によるコメント

広川海さんは東京の文京区千駄木という由緒正しい(?)下町に生まれ育ち、そのことに誇りを持っている。田舎者の私などにはうらやましいことで、衣食住の生活の美意識の基本からして洗練されている。多摩美は「粋」の伝統が一番残っている大学だと私は信じているが彼女などその証人かも知れない。和装や金魚といった和のモチーフと、モダンなグラフィック処理の造形的な融合に腐心していた時期もあったが卒業制作では、近代の日本文学をテーマに新潮文庫のポスターとして美しくまとめてくれた。広川さんの家はどうも夏目漱石が住んでいた家から猫の足でも行けそうな距離らしく、吾輩としてはその作品が最もよろしかろうと思ふ。

教授・佐藤 晃一