文字pong

金子 航

作者によるコメント

タイプする、という様に打つ事と文字を打つ事の関係性から発展して制作していった作詞する装置です。偶発的に出来る文の面白さ、楽しさをより身近に感じてもらう為にピンボールという形でアウトプットしています。全てデジタルで処理せず、実物が動く事で打つ動作に深みを持たせようと思い、アナログとデジタルを混ぜています。打ったボールが文字にぶつかるとスタックされていき、ボールが下に落ちると終了します。

担当教員によるコメント

金子がつくった「文字pong」は不思議なピンボールマシンである。ディスプレイのフィールドに打ち放たれた赤い玉を台の上方に設えたカメラが捕らえ、玉の動きがコンピュータプログラムを介して、ディスプレイに伝えられる。ディスプレイ(=台にはめ込まれたピンボールフィールド)には、あたかも浮遊しているかのように、文字が表示されている。その文字の上を赤い玉が通過すると言葉が選び出される。玉をフリッパーで打ちかえすたびに言葉が並んで詩ができあがる。そんなゲームだ。ゲームと書いたが、ゲームなのかどうかもわからない。つくり出されるのはナンセンス詩ともダダ詩ともつかない奇妙な言葉の並びである。そして私たちは、玉を打ち返すごとにゲーマーから詩人に変わっていく自分をみることになるのだ。

教授・永原 康史