どっと*むかし

井上 侑香

担当教員によるコメント

デジタルメディアのデジタル性には、大きく分けて内部的なデジタル性(数字による表象)と外部的なデジタル性(グリッドやジャギー)がある。この作品は「ドッター」という職人が活躍していた時代のテレビゲームをメタファーとして、その映像が持つ外部的なデジタル性に、鑑賞者が画像の中に入り込むインタラクションを組み合わせたものである。そこには駄菓子屋という「窓」と自分という「鏡」が同居している。単なる過去のシミュレーションやノスタルジアを目指したのではなく、低解像度のグリッドに高解像度のカラーというアンバランスな感覚がなつかしい未来を演出する。

教授・久保田 晃弘