text & textile, —テキストとテキスタイルの比較から見る、「織る」という行為についての考察—

鈴木 結実菜

作者によるコメント

テキストとテキスタイルの語源である「テクセレ」には、「織る」という意味があります。言葉を織ることでテキストが、糸を織ることでテキスタイルができますが、その過程の行為は全く異なります。そこで本制作では、両者の素材を交換し、糸でテキストを、言葉でテキスタイルを織ることで、「織る」という行為についての考察を行いました。最終的にできたテキストとテキスタイルは私たちが普段認識しているものとは違う形になりましたが、その違いを楽しんでいただければ幸いです。

担当教員によるコメント

「text & textile」は文字を織った作品である。もともと切り絵が好きだった鈴木は、文字の切り絵に取り組んだ。たくさんの習作をつくったがどうも釈然としない。行き詰まったかにみえたとき、「text」と「textile」は同じ語根を持つことを友人から聞く。それを鈴木は「文字を織る。文字で織る」と展開し、制作のテーマとなった。次のジャンプは文字を「線」で捕らえたときである。通常、印刷書体は厚みを持った面で書く。鈴木はそれと同じようにアウトラインで文字を切っていたのだが、織ることを試行錯誤するうちに、線で切ることを発見する。線は質量を持たない概念であるが、切り絵であればそれを実体化できる。線の文字が織りなす美しい面の完成である。もう一方の対になる作品では、文字の「点」を糸で結んでいくことで文字の形状が崩れていく。文字が織られることを拒否しているようだ。

教授・永原 康史

  • 作品名
    text & textile, —テキストとテキスタイルの比較から見る、「織る」という行為についての考察—
  • 作家名
    鈴木 結実菜
  • 作品情報
    作品形態:立体物
  • 学科・専攻・コース