若く、ばれて

大渕 礼奈・圡方 明日香

担当教員によるコメント

入学当初から、大渕が手がける作品は、新鮮な驚きを突きつけてきた。演劇って何?彼女にとって最大の興味の対象である“演劇”は違和感の塊なのかもしれない。演劇のリアルって何?その問いに向かうメタシアターを創り続けているといっていい。卒業制作では古典戯曲に挑戦したいと言い出して、『ワーニャ伯父さん』(チェーホフ)を選んだ。舞台には白板と座布団、ラジカセ、馬の人形。登場人物は、演出家役の大渕と黒子の圡方の二人きり。照明はといえば2本のマグライト。まずは、ワーニャの物語を講義。当然のごとく座布団に座った演出家は、ソーニャの目線で田園を捨て都会に行ったワーニャを追う。終幕、「生きていきましょうよ」この台詞が見事なリアリティーを獲得した作品となった。恐るべき才能である。

教授・加納 豊美