そらのおく

畑田 あゆ美

担当教員によるコメント

ボナールのような、魅力的な色彩を放つ絵である。どんな場所でどんな時間帯だったらこのような状況に出合えるのかと思わせる風景である。ある時、モティーフである畑田が撮ったという不思議な写真を見せてもらった。窓越しに近所を撮ったようなありきたりの構図だが、色が非現実的でまさに畑田が描いた絵のようだった。普段ドローイングで、小さめの紙に色彩を重視した実験を繰り返していたが、私の記憶ではそれがすぐに作品へ発展することはなかった。現実の風景で、しかも写真の偶然の効果によって畑田の求める色彩豊かな作品に突然出合えるとは皮肉である。もっと早く出合って欲しかったと思うが、かなりの量の色彩のドローングがここにきて実を結んだと、やはり解釈するべきかもしれない。

教授・室越 健美