ファッションを自由にする色

赤坂 知世

作者によるコメント

デザイナーが普段から感覚的に行っている、微妙な色の差を感じ、選択するということ。それは売れる売れないだけで作られたものを見ている消費者には与えられていない機会です。微差の色で感覚を研ぎすませることで、ファッション誌などに縛られず、自分なりのファッションを楽しむことができるようになるのではないかと考えています。

担当教員によるコメント

色彩は私たちにもっとも身近なものである。しかし実際にはどれほどの人々が暮らしの中でさまざまな色彩のプロダクトを楽しめているだろうか。赤坂さんはデザイナーとして提供したいと感じる豊かな色彩に対し、一般的に消費者の分かりやすさ選びやすさを重視した「商品色」の存在に違和感を感じたという。デザイナーと消費者の感覚の違いは、体験の差そのものなのではないか。そこで「微細な色差に出会う機会」を商品展開で作り出そうと考えたのだ。よく見て1色購入するのではない。3色セットにすることでで暮らしの中に微差の色が入り込むしかけを作った。自然界の色差は皆感じることができる。プロダクトの色も見比べて使う機会さえあれば、私たちの暮らしはもっと彩られるに違いない。

教授・大橋 由三子