ひらがなプロダクト no.32_みりん車

茂木 千紘

作者によるコメント

日本で作られているプロダクトは、無駄がなく、精密で美しいものがたくさん存在します。しかしその「無駄を無くす」という行為が日本の「遊び心」を無くしてしまい、笑いから生まれるコミュニケーションが減っていると感じました。そこで日本人らしさが詰まった「遊び心」のあるプロダクトを提案することで「こんなものがあってもいい」と思うようになれば、気持ちが落ち込みがちな日本人が前向きになれるきっかけを作り出していけると考え、本気で人を笑わせるためにひらがなプロダクトを提案しました。

担当教員によるコメント

三輪車の「三」を「み」と読ませているのだと気がつくまでしばらくかかる。そしてじんわりと滲みてくる。おかしさが。深い意味がかくされているのだろうか?それとも単純に駄洒落のようなものだろうか?面白さと不思議さがまざり満ちてくる。我々の日々の生活は、メタファーやアレゴリーに満ちている。石頭、頭をひねる、首を長くして待つ、目を皿のようにする、足が棒になる。例え話や比喩表現、駄洒落は毎日のように新しく生まれる。茂木さんの作品は言語や文字表現の持つ自由さと豊かさをプロダクトを通して届ける可能性を追い求めている。そして私たちは解釈の自由を持っている。笑うもよし。引きつるもよし。

教授・大橋 由三子