一人暮らしのお年寄りへ向けた食事宅配サービスの提案

山口 詩織

作者によるコメント

食欲があっても体が動かしにくい、飲み込む力が減っている等の理由で、食事を満足に得られないというお年寄りは年々増えています。食べたい時にすぐに食べられるように、食卓の環境を整えることが重要であると考え、食事の届け方をデザインしました。

担当教員によるコメント

食べることは生きることに直結する。食べたいと思う気持ちに、デザインはどこまで関わることができるだろうか。難しいテーマに挑んだ山口さんの提案は、一人暮らしのお年寄りに向けた一日の献立のありかたと届け方だ。一汁三菜の献立の「保存温度」に着目したことで、自由な食べ方ができるという発見につながった。昼と夜の献立を、一度に届けてしまうことを可能にする仕組みと保冷温庫を考案した。一日のうちの体調の変化にあわせて少しずつでも一品でも食べることができる。長期間にわたる丁寧な取材と調査。それらに裏付けされた、最終作品にはならなかった試作提案の数々。山口さんの、生きることへのやさしいまなざしと、デザインの関わりを諦めない姿勢も評価につながった。

教授・大橋 由三子