動きの予想, ー触覚と視覚のギャップー

重田 くるみ

作者によるコメント

モノに触れる時、動かす時、無意識にどう動くかを予想しながら扱います。しかし、その予想と異なる動きや見え方をした時、そこにギャップが生まれます。現代の製品は、一目でのわかり易さ、が重要視されています。しかし、そこには、触れてみて初めてわかる、「リアルな体感」が希薄になり、自ら知ろうとする行為が失われています。その感覚の大切さを体感出来るようなモノとして、リンク構造とPETを用いて「動きと視覚」を感じられる可動作品を作りました。

担当教員によるコメント

人は身のまわりのさまざまな「かたち」から実に多くの情報を読み取り、それがどんなものであるかを認識して使っている。重田さんの作品は、さらに意外な動きによってより印象深く使用者の記憶に残ることを期待してデザインに活用しようという提案である。「違和感」が「心地良い新鮮さ」に変わるには、使用者が積極的に関わり分かろうとするきもちを持続させるだけの魅力をもちあわせなくてはならないだろう。少しずつ違う形が重なり合う透明な素材の視覚的な情報が、単純なリンク機構という情報からは読み取れない動きを生み出すことに一役買っている。柔らかい素材の情報が、少し無理をさせながら回転させることを促す。触っているとすっかりその世界に引き込まれてしまう。

教授・大橋 由三子